3月某日、大阪松竹座へスーパー歌舞伎2『ワンピース』を観に行きました!
わたしは猿之助さんが好きでワンピース歌舞伎に興味を持ちましたが、原作はアラバスタ編までしか読んでいませんでした。
今回のためにワンピース51~60巻を読み、面白くてキャラクターが魅力的な漫画だな〜〜と実感。幅広い世代から人気があるのも頷けました。
それでは、さっそく観劇日当日の様子から。
開演前の松竹座の様子
歌舞伎が興行されるときは、劇場入り口にお芝居の登場人物が描かれた絵看板が掲げられます。
今回はワンピース歌舞伎仕様!原作者の尾田栄一郎さんが描かれています。
オリジナルグッズが並ぶ物販エリア
ずらりとワンピース歌舞伎オリジナルグッズが並んでいます。たくさんの人で賑わっていて、その熱気に影響されてだんだんとテンションが上がってまいります。
こちらの物販は、掲示されているグッズを見て申し込み用紙に欲しい商品を書き込み、近くにある販売エリアで購入するしくみ。大阪公演から追加されたグッズも多数見受けられました。
他にも2200円の重箱弁当(数量限定)や、クオリティの高い歌舞伎仕様のルフィのフィギュアが販売されていました。
グッズについて、詳しくは下記ウェブサイトから確認できます。
スーパー歌舞伎2 ワンピース 商品・お食事(外部サイトへ)
物販エリアがある階の階段の踊り場では、役者さんたちの舞台写真が一枚500円で販売されています。
開演前と幕間の休憩時間のみの販売ですので、目当てのキャラクターや役者さんがいらっしゃるかたは、早めにチェックしましょう!
わたしは1800円の番附(パンフレット)と、幕間に舞台写真を二枚購入しました(^ω^)
ちなみに幕間にゆっくりオリジナルグッズなどをご覧になりたい場合、幕間の食事は開演前に用意しておくのがお勧めです。詳しくは過去記事もご覧ください。
大阪松竹座での観劇と幕間の食事のこと
開演前の舞台もワンピース仕様に
開幕前の舞台には、ルフィの像が飾られていました。
わたしが取った座席は、一階席の後方。舞台がちょうど真正面に見えます。
二階席の下にある席だったので、役者さんの宙乗り(宙に吊られる演出)があるときは見えづらかったですが、その点以外は申し分のない良席でした。
ワンピース歌舞伎の席について
歌舞伎に限らず、舞台では一階のほうが臨場感が感じられますが、ワンピース歌舞伎では演出の関係上、二〜三等席(2〜3階の席)でも問題なく楽しめると思います!むしろ、宙乗りの演出では2〜3階が特等席になります。
一階席では、花道の近くや前方の席が迫力がありそう。松竹座の座席については、こちらの記事も参考にご覧ください。
大阪松竹座の写真とともに歌舞伎の座席を考える
観劇を終えて、ワンピース歌舞伎の感想
息をつく暇がないほど濃密で、面白かったです!!
歌舞伎とワンピースがとても良い形で融合していて、ワンピースであり、歌舞伎でもありました。
実は、ワンピースが原作である以上もっと現代劇風なものを想像していたのですが、その想像は簡単に裏切られました。演出、衣装、言葉の端々など、歌舞伎らしく感じるところは意外と多かったです。
うまく魅力を伝えられるかどうかわかりませんが、これから感想を書いていきます。若干のネタバレも含んでいますので、ご了承くださいませ。
※演出等、書いている内容は2016年3月大阪松竹座公演に関するものです。他公演では異なる場合があります。
一幕目:ルフィたち登場人物の紹介も兼ねる序盤
海軍の手によりバラバラに引き離されてしまったルフィたち麦わらの一味。ルフィは女性だけが住む島 アマゾン・リリーに迷い込みます。
導入部分の映像が素晴らしく、少しずつワンピースの世界に引き込まれます。(映像に感化されて、早くも涙腺が緩みかけました)
ちなみにこのときに流れるナレーションは、昼公演は中村勘九郎さん、夜公演は中村七之助さんだそうです。
歌舞伎からヒントを得た演出もあり
『弁天小僧』よろしくルフィたち麦わらの一味が朗々と自らの素性を口上する場面もありました。
原案となった『弁天小僧』は盗賊のお話。海賊であるルフィたちが同じように自己紹介する姿は格好良かったです。
弁天娘女男白浪(外部サイトへ)
※『稲瀬川』の場面をモチーフとしているそうです。
船医であるトナカイのチョッパーは能力を発揮すると変身し、巨大化します。舞台では通常時はぬいぐるみとして出演していますが、能力を発揮してからは石橋直也さんが演じています。
登場の仕方は『義経千本桜 川連法眼の場』で狐忠信が登場するシーンが元ネタとなっていて、猿之助さんの狐忠信が大好きなわたしはニヤッとしてしまいました。
義経千本桜(外部サイトへ)
※ちなみに上記ページの一番上に表示されている画像の人物は、白ひげの衣装のもととなった平知盛です。
ルフィ←→ハンコックの早変わりが見もの
歌舞伎では早変わりという一瞬で役を変わる演出があります。猿之助さんが両役とも演じているルフィとハンコックの登場シーンでは、早変わりを利用してルフィとハンコックを演じ分けてらっしゃいました。
よくよく見ないと変わっていることすらわからないほど巧みな早変わり。さすが猿之助さんです…!
そうこうしているうちに一幕が終わり、幕間休憩へ。
舞台に引かれている幕もワンピース仕様になっていました。幕間にはお弁当などの食事をとって休憩し、二幕へ備えます。
二幕:たくさんのキャラクターを巻き込みながら繰り広げられる脱出劇
兄のエースを助けるために、巨大監獄インペルダウンに潜入するルフィ。
インペルダウンに服役中の友人・ボンクレーや、ニューカマーランドのリーダー・イワンコフたちの力を借りて、エース救出を図ります。
ニューカマーランドの人たちが楽しい!
完成度の高い巳之助さんボンクレーの演技が楽しい幕ですが、ニューカマーランドの登場シーンも強烈です。
ニューカマーランドの人々は、男性でありながら艶やかに着飾っていて、さながらドラァグクイーンのよう。彼らのダンスシーンが面白くて楽しくて…完全に気持ちを持っていかれました。
振り付けや舞台セット、ニューカマーランドの面々を見ることに集中していたので、正直なところ舞台でどういった言葉が交わされていたのか覚えていません(^^;)
イワンコフを演じられている浅野和之さん、最高でした。もう一度見たいな〜。
終盤まで見どころが多い幕
二幕の終盤は、ボンクレーとニューカマーランドの一員・イナズマの二人が活躍する大量の本水(本物の水)を使った戦闘シーンもあります。
最後にはテーマ曲の『TETOTE』が流れ、ルフィを中心にライブのような展開に。ニューカマーランドの人々が客席に降りてきて、座席の場所しだいでは役者さんとハイタッチもできます!ぜひ立ち上がって楽しみましょう♪
三幕:ポートタウンで海軍との決戦へ
エースの処刑を止めるため、インペルダウンで出会ったジンベエと共にポートタウンへたどり着いたルフィ。物語は佳境を迎えます。
戦闘シーンなど、派手な演出が見もの
賑やかだった二幕とはうって変わり、シリアスなシーンが続く三幕。最強の海賊「白ひげ」をはじめとした白ひげの一味や、海軍三大将が登場します。
クライマックスに入るため戦闘シーンも多いのですが、紙吹雪などのアナログな手法から、最新のプロジェクションマッピングを使った演出まで見どころが多く、舞台から目が離せません。
個人的に印象に残ったのは、海軍三大将のひとり赤犬サカズキと、エースの戦闘シーン。
サカズキの能力であるマグマをたくさんの役者さんがアクロバティックな動きで表現しており、見応えたっぷり。エース役の平岳大さんとサカズキ役の嘉島典俊さんも負けじと動き回っていて、まるでミュージカルのダンスシーンを見ているような感覚になりました。
最後はふたたび麦わらの一味が登場し、未来へと繋がるようなかたちで終幕。
休憩時間も含め、述べ4時間に及ぶ舞台が終わりました。
印象に残ったところをいくつか
ワンピースの雰囲気を損なわず、歌舞伎らしい衣装
ワンピースのキャラクターの特性を活かしたまま、歌舞伎らしくアレンジしている衣装が興味深かったです。
麦わらの一味のサイボーグ・フランキーの腕には『暫』の鎌倉権五郎に見られるような装飾が付いていたり、『義経千本桜』の平知盛の衣装をもとにしているという白ひげ、裃を着ているように見えるサディちゃんたちインペルダウンの看守など…
和洋折衷になった衣裳がとても面白く、見事に調和しているように見えました。
また、海軍三大将の黄猿ボルサリーノは一幕で平安装束を思わせる身なりをしていましたが、三幕の戦闘シーンでは鎧に衣装替えしていたのが印象的でした。
場面に合わせて衣裳を変えているようで、細やかなところまで気を遣っているのだなと感心。
こちらは松竹座に掲げられていた、もうひとつの絵看板。役者さんが役の拵えで写っていらっしゃいます。
役者さんの好演
特に印象に残ったのはゾロ・ボンクレー・スクアードの三役を演じられた坂東巳之助さん。
どの役も完成度が高かったのですが、イチオシはボンクレーです!漫画で読んだとおりのたたずまいで、テンション高く愛すべきボンクレーでした。
オペラグラスで見ていた友人いわく、「目が常にキョロキョロと動いていた」とのこと。確かに白目をむいているシーンは目視でも分かりました^^;
また、サンジ・イナズマの二役を演じられた中村隼人さん。
端正な容姿から二枚目の若手俳優としてメディアに出ることも多い隼人さんですが、ニューカマーランドのダンスシーンではイワンコフとの絡みもあります…!
原作ではイナズマはそのようなキャラではなかったと思うので、ちょっとびっくり。隼人さんのお綺麗な顔立ちを逆手に取ってこのように振り付けられたのかな~と邪推しつつ、颯爽と踊っていらっしゃる姿が印象的でした。
ほかにも書き出していけばキリがないのですが、ルフィ・ハンコック・シャンクスを演じ分けた市川猿之助さん、エース役の平岳大さん、イワンコフとセンゴク役の浅野和之さん、サディちゃん・マルコの二役を演じられた尾上右近さんなど…
役者さんたちの存在なくしては、ワンピース歌舞伎の熱気は作り出せなかったのではと思います。
坂東巳之助さん、中村隼人さんの舞台写真を購入。
まとめ
歌舞伎や現代劇の最前線で活躍する役者さんの能力と、猿之助さんやスタッフの皆さまの知恵と、最新のテクノロジーが集まって作られた歌舞伎をもとにした新しいエンターテイメントを見たような気がします。
2016年4月には博多座でも興行されるワンピース歌舞伎。これから観劇される方は、ぜひ楽しんでくださいね!
(そして何度も楽しみたいので、映像化を熱烈希望しています)
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