こんにちは、numaです。
2018年も観劇の沼にどっぷりとはまっていたので、総括として思い出しながら感想をまとめます。
今年は遠征して観たい公演も数多くありましたが、関西圏で見れるもののみに絞った一年でした。
この記事は沼Advent calendarに参加しています。
美しさに息を呑んだ『坂東玉三郎 初春特別舞踊公演』
稀代の名女形である人間国宝・坂東玉三郎丈と、若手俳優の中でも踊りの名手・中村壱太郎丈の舞踊公演。
玉三郎丈も壱太郎丈も大好きなので、とても楽しみにしていました!
上演された歌舞伎舞踊
歌舞伎にはお話のある舞台のほかに台詞のない舞踊もあり、『坂東玉三郎 初春特別舞踊公演』は舞踊のみで構成された公演。
はじめに口上として玉三郎丈と壱太郎丈がご挨拶されたあと、舞踊の演目が4本続きます。
それぞれの演目で春夏秋冬の季節を表しているそうです。
- 大勢で踊り、春の到来を喜ぶ華やかな『元禄花見踊』
- 秋の夜の風情を感じさせるしっとりとした『秋の色種』
- 人に恋した鷺の精がいまわの際に踊る『鷺娘』
- 傾城が想い人への恋心を表現する『傾城』
玉三郎丈にも、壱太郎丈にもうっとり
玉三郎丈は品と色気があり、わたしのような素人でも指先まで神経を行き渡らせているのがわかるほど美しく踊られる方。貧弱な語彙では表現できないほど、素晴らしかったです。
個人的に、歌舞伎の良いところのひとつに人間国宝の至高の芸を観られる機会が多いというところも挙げられると思っています。
壱太郎丈は特に、『鷺娘』の早変わりに奮闘されていらっしゃいました。
初めて壱太郎丈を拝見した時は「本当は女性なんじゃないの…?」と疑ってしまうほど可憐な容姿に惹かれましたが、お芝居も踊りもとてもお上手な方。いつも活躍ぶりを楽しみに観劇しています。
1月上旬ころは劇場内で獅子舞のパフォーマンスもおこなわれていて、玉三郎丈の観客に対するお心遣いを感じました(^^)
新年からいいもの観させていただいたな〜 という気持ちになれる、素晴らしい舞台でした。
人気の新作歌舞伎が再演!『スーパー歌舞伎II(セカンド)ワンピース』
2016年に観劇して、ものすごい衝撃を受けたワンピース歌舞伎の再演。
当時の感想はこちらにアップしています。
2年前一緒に行った友人と1回、初めて行く母と一緒に1回観劇。
本当はもっと観たかったのですが、土日の日程のチケットは一般販売後すぐに完売しており、ワンピース歌舞伎の人気を実感しました。
俳優陣の熱演が光る舞台
ルフィ役に市川猿之助丈と尾上右近丈、イワンコフ役に浅野和之さんと下村青さんのダブルキャスト。
今回から新たに参加した俳優がワンピース歌舞伎に新しい風を吹かせ、初演時から続投している俳優はさらに役と同化し、ますます濃い舞台を作り上げているように感じました。
俳優陣全員に思い入れがありますが、あえておひとり印象に残った方を挙げるとしたら下村青さんのイワンコフ。強烈なキャラクターでした…(大好きです)。
舞台の途中でハイタッチして、お尻をフリフリしてもらえたことは忘れませんw
ご本人のTwitterより、イワンコフ。
1日初日、有楽町ヒューリックホールでの「S.Q.S」Ep2 木曜日のゲネプロから連続、2ステージ!やっと明日はお休み。
パンフレットに今まで演った役名が載ってますが皆さんイワンコフ画像をお探しのご様子。ちゃんとしたのがないので松竹座のプログラム写真アップするナブル!ヒーハー!#スケステ pic.twitter.com/nBwc5C0K1R— 下村 青 Official (@ao_shimomura) 2018年11月4日
観客を楽しませる派手な演出
- プロジェクションマッピングを効果的に使った映像
- 宙乗り(俳優が天井から吊るされる演出)
- 本水(本物の水)や紙吹雪を使ったスーパー歌舞伎らしい派手な立ち回り
などなど…。
初演から残る演出もありつつ、2幕の最後の『ファーファータイム』(テーマ曲TETOTEが流れる中盤のハイライト)では音楽に合わせて観客もタンバリンを持って参加できるようになっていて、参加型のエンターテイメントに進化。
わたしは一体何を観に来ているのだろう…? ここはUSJ?? と若干ハイになりつつ不思議な気持ちに。
手に汗握り、泣けるところは泣けて、とにかく楽しい公演でした。また再再演してほしい、大好きな作品です。
豪華な座組・贅沢な演目の『七月大歌舞伎』
高麗屋の松本白鸚丈・幸四郎丈の襲名披露公演。
もともと高麗屋のファンなのですが、出演者には大好きな片岡仁左衛門丈をはじめとした東西の歌舞伎俳優が揃っていて、さらに演目も魅力的。
絶対に観に行かねば…!!!と思い、歌舞伎を初めて観るという友人も巻き込み、昼・夜公演あわせて3回観に行きました。
初日より前におこなわれる船乗り込みという行事も観覧。
間近で白鸚丈、幸四郎丈、仁左衛門丈などの俳優陣のお姿を拝見できて、大感激のひとときでした。
船乗り込みについては次の記事にまとめています。
昼の部・夜の部それぞれに面白いが、『女殺油地獄』が印象に残る
通常、歌舞伎の公演は昼・夜それぞれで演目が異なります。
昼の部の目玉は松本白鸚丈の『河内山』と、幸四郎丈が弁慶をつとめる『勧進帳』。
夜の部はそうそうたる面々が高麗屋の襲名をことほぐ『口上』と、『女殺油地獄』に注目していました。
どの演目も見応えありましたが、『女殺油地獄』が最も鮮烈に印象に残りました。
『女殺油地獄』は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃を歌舞伎にしたもの。
数年前にこんぴら歌舞伎で幸四郎(当時染五郎)丈が『女殺油地獄』を通し(お話を最初から最後まで上演する形式)でされていたのを観劇していて、そのときに感じた主人公与兵衛の悲しさが忘れられず… もう一度見たいと思い続けていました。
追い詰められた与兵衛に殺されてしまうお吉を花形屈指の実力者である市川猿之助丈がつとめ、なおかつ与兵衛を当たり役としていた片岡仁左衛門丈が全体を監修されるのですから、期待値が上がりきった状態で観ました。
その期待値を裏切らず、本当〜〜に面白かったです…! とくに与兵衛が殺人を犯すシーンの狂気に満ちたお芝居では、オペラグラスから目を離せませんでした。
わたしが観た中で今年のベスト1と言ってもいいほど、満足度の高い一幕でした。
中村屋の芸を堪能した『東大寺歌舞伎』
9月、中村勘九郎・七之助の中村屋兄弟が奈良県の東大寺大仏殿の前で舞踊公演をされました。
勘九郎丈は2019年の大河ドラマ『いだてん』に主演しており、撮影のため歌舞伎の舞台に立たれる機会が減っている中でのご出演。
舞台に立つ勘九郎丈を観られる貴重な機会なうえ、演目が好きな『藤娘』と『連獅子』と知り、勇んでチケットを取りました。
公演の感想はブログの別記事にまとめて書いているので、よろしければご覧ください!
楽しみつつも若干モヤっとしてしまった『十月大歌舞伎』
市川齋入丈、右團次丈の襲名披露公演で、右團次丈のご子息・右近丈の大阪初お目見えです。
市川海老蔵丈や猿之助丈など、メディアでご活躍の俳優もいらっしゃいました。
わたしは昼の部のみ観劇。
昼の部は『華果西遊記』『神明恵和合取組』『玉屋清吉』の3本立てでした。
『華果西遊記』はその名の通り西遊記をモデルにしたお話。
孫悟空が分身と一緒に宙乗りをしたり、派手な立ち回りがあったりと、歌舞伎らしいケレン味のあるわかりやすくて楽しい舞台でした。
孫悟空役の右團次丈と、分身の小さな孫悟空役の右近丈の親子共演も見もの。
右近丈が幼いながらもしっかりとお役をつとめていて、微笑ましく心強かったです。
モヤモヤの原因
続く『神明恵和合取組』はめ組の喧嘩とも呼ばれ、江戸時代の火消しと相撲取りの喧嘩を描いた作品。
有名なお話なので、楽しみにしていました。
特に喧嘩のシーンは迫力があって面白かったのですが、辰五郎役の海老蔵丈は声も立ち姿もとてもよいのに、台詞に抑揚がないためか何を考えているのかちょっと伝わりづらいなあ…とモヤモヤ。
あくまでも個人の感想ですし、初日あけてしばらくしてから観に行ったので、時期の問題かなとも思います。(千穐楽に近づくにつれ、よかったというお声をSNSで目にするようになりました)
ちなみにモヤモヤのもう1つの原因である新作舞踊の『玉屋清吉』は、なんというか、凄かったです…(^^;)
高麗屋襲名披露の集大成『當る亥歳 吉例顔見世興行』
高麗屋の松本白鸚丈・幸四郎丈・市川染五郎丈の三代揃った襲名披露公演。
学業の関係で、染五郎丈は関西ではこの顔見世興行にしか襲名披露にご出演されないため、見逃すまいと思っていました。
昼夜二部とも観たかったのですが難しかったので、絶対に観たい『連獅子』がある昼の部のチケットを購入。
耐震補強工事のため2年間ほど閉館していた京都四條南座のこけら落とし公演でもあり、新しい南座に入れることも楽しみでした。
家による芝居の違いの面白さに気づいた公演
『連獅子』は東大寺歌舞伎で勘九郎丈・虎之介丈の連獅子を観て間もない時期だったので、意識せずとも比較しながら観てしまい、それがかえって興味深かったです。
特に、幸四郎丈の親獅子が染五郎丈の子獅子を心配する場面があるのですが、そのときの表情がまさに親で。
本当の親子がされているのでまた違った目線で観てしまうのかもしれませんが、『連獅子』で親獅子の気持ちを察したのは初めてで、お芝居としての面白さも感じました。
中村屋の『連獅子』は純粋な舞踊としての面白さに魅力を感じて見入っていたので、どちらが良いと言うわけではなく、演じる家によってこんなに作品の印象が変わるのかと感じ入った出来事でした。
また、染五郎丈の立ち振る舞いの美しいこと…特に手の形の綺麗さに見とれていました。
売店で染五郎丈の写文集(ご本人の直筆サイン入り)もしっかり購入。これからが楽しみな俳優です!
締め
長々となってしまいましたが…
12月は歌舞伎を観に行けないので、2018年の観劇はこれきり。
ひとつひとつの観劇がバラエティに富んでいて、どれも記憶に残っています。
次の観劇までしばらく間が空きますが、そのときを楽しみに2019年も毎日をがんばります!
補足:歌舞伎に興味があるけどどこで観れるの?という方へ
関西の情報が多めですが、次のブログ記事が参考になれば幸いです!
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