大阪松竹座で七月大歌舞伎を観ました

七月のある日、「関西歌舞伎を愛する会」が主催される七月大歌舞伎に行ってきました。夜公演のみですが、主なお目当ての片岡仁左衛門さんをしっかり観てきました~。
夜公演は三幕の構成。一幕が20分程度で、二幕、三幕がどちらも1時間半前後という、見応えのあるお芝居でした。
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曽我兄弟の仇討の前日談『曽我物語』

歌舞伎でよく取り上げられる曽我兄弟の仇討ちは、鎌倉時代に実際にあった出来事をモチーフにしています。長兄の小次郎と、父の仇討を企てている十郎と五郎、末弟の禅司坊の会話を中心に、それぞれの心理が描かれる静かなお話です。

ところで『曽我物語』は明治時代に入ってから書かれた新歌舞伎だそうで、開演前には通常の歌舞伎の定式幕(黒、橙、緑の縦縞の幕)を使わずに、劇場の緞帳がかかっていました。幕の使い方にもそういった違いがあるのですね、知りませんでした…

片岡仁左衛門さんの大蔵卿が見もの!『一条大蔵譚』

『一条大蔵譚』(いちじょうおおくらものがたり)は平家物語をベースにした時代物。歌舞伎では源平をテーマにしたお話が多い印象です。きっと江戸の人たちが好きだったのでしょうね。

中心人物は、源氏の大将・源義朝の愛妾で、のちの源義経の母親でもある常磐御前と、現在の夫である一条大蔵卿。常盤御前は敵方の平氏に捕らえられた後、平清盛の陰謀により大蔵卿の妻となりました。
大蔵卿は「阿呆(あほう)」として悪名高いお公家さんで、彼に嫁いでからというものの、常磐御前は平家への恨みなど忘れたように遊んでばかりいるそう。
源氏の元家臣である吉岡鬼次郎とお京の夫妻が、常磐御前に源氏を再興する気があるのか? 真意を確かめにいきます。

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なにはともあれ、印象に残ったのは仁左衛門さんの大蔵卿!
話す時には首をかしげて語尾を間延びさせ、長椅子ではしゃぎ、お京に狂言を舞わせているときには真似したり、挙句の果てに寝たり…。
まるで子供のような阿呆ぶりですが、実は世を忍ぶための演技で、彼の本性は聡明な貴公子。
常磐御前は平家への恨みを忘れているわけではなく、お互いの本性を知ったまま結託しています。

大蔵卿の思いを見せるくだりのあと、また阿呆のふりに戻るのですが、そのようすが自由自在でとても面白い!
ころころと演技や声音を変えなければいけないので難しい役だと思いますが、片岡仁左衛門さんの上品な雰囲気もお公家さんという役にぴったりで、とても魅力的に見えました。
仁左衛門が語る「七月大歌舞伎」|歌舞伎美人

中村福助さん、中村橋之助さんの『杜若艶色紫』

『杜若艶色紫』(かきつばたいろもえどぞめ)は、江戸時代を舞台にした世話物。いわゆる、江戸時代当時の現代ドラマです。
主人公は、蛇使いとして生計をたてているお六。お金のために悪事はするし人も殺めるけれど、情けもある姉御肌の女性。坊主の願哲とともに、悪事を働いてお金を稼ごうとします。
ただ、騙した遊女の八ツ橋は、実はお六と血の繋がった妹。そのうえ八ツ橋は彼女を手に入れようとした男の策略により、恋人に殺されてしまいます。

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お六のような人物を歌舞伎では「悪婆」と言うそうで、年齢は30になるかならないか、といった頃。年増ではあるけれど、まだ色気もある…という年頃だそうです(江戸時代の女性の地位が見える表現ですね(^_^;))中村福助さんがとても色っぽく、お六の役柄に合っているように見えました。

福助さんと願哲役の橋之助さんのテンポの良いやりとりに笑いが起きたり、途中には名題に昇進(名前のつく役につけるようになること)した歌舞伎役者を呼んで、即席の口上をおこなったりと、遊び心を感じる演出もありました。クライマックスには、ほんものの水を使った演出も!
登場人物が多く、それぞれが複雑に絡み合っているお話ですが、終末に向けて収束していくさまがとても面白かったです。

どのお話もしっかりと見ごたえがあって、大満足の観劇でした。
当日券もあるようですので、7月28日の千秋楽まで残り少ないですが都合が合うかたはぜひ、観劇されてはいかがでしょうか?
七月大歌舞伎|歌舞伎美人

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