歌舞伎の華、女形の魅力

美しい容姿や、たおやかな所作。女形が出てこられると、ぱっと舞台が華やかになります。
わたしが歌舞伎を観劇する時に楽しみにしているもののひとつに、女形(おんながた、女役)の存在があります。

『女性らしさ』を体現する女形

歌舞伎では、「現実では想像しにくい」ものがたくさん出てきます。

現実と比べてかけ離れた大きさの小道具(大きすぎる毛抜きや刀)や、
化け狐が話す狐言葉(話の途中の不自然なところで間延びする)や、
特徴的な形のかつら…
男性が女性を演じることも、そのひとつかもしれません。

以前、歌舞伎鑑賞教室で耳にした印象的なお話に、「歌舞伎は『らしさ』の演劇」というものがあります。
(時間が経っているので、細かなニュアンスは違うかもしれませんが)実際にはお茶を飲んでいないけれど、飲んでいるかのように『らしく』見せること。現実の世界ではありえない大きさだけれど、それ『らしい』こと。
現実にあるものから特徴をデフォルメ(強調)して、はっきりと伝えるために、長い歴史の中で洗練されてきた形なのでしょうね。
女形は、その『らしさ』の演劇のひとつだなーと思っています。

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中村壱太郎さんの待宵姫をモデルに描きはじめましたが、途中から似せることをあきらめました…(^^;

立役(男役)と女形(女役)

江戸時代に女性が演じることを禁じられてから、男性しか出演できなくなった歌舞伎。そもそも立役と女形を、どう決めるのでしょうか?
先日読んだDiscover Japan 4月号の『歌舞伎入門』にその記述がありました。

簡単にまとめると、御曹司(先祖代々歌舞伎役者の家に生まれた俳優)は、その家が得意とする役の傾向(○○家なら立役、○○家なら女形…)にのっとることが多いそうです。ただし、本人の希望で違う役を演じることもあるとのこと。
御曹司以外の俳優(一般の家庭出身で、部屋子などを経て歌舞伎界に入った俳優)は役がつけば立役、女形に限らずこなすそうです。

また、女形でも、男性を演じることがあります。『青砥稿花紅彩画』(『白浪五人男』という名称が有名です)で女装してあらわれる盗賊、弁天小僧などのように、女装の美少年は女形が演じられるそうです。
ちなみに大阪平成中村座で中村七之助さんが演じる弁天小僧を観たことがありますが、色っぽく格好良く綺麗で、南郷力丸を演じていた中村勘太郎(現在の中村勘九郎)さんとのかけあいも絶妙で… それは素敵でした~。

女形としてご活躍の歌舞伎俳優

年若い俳優が演じられるお姫様は、初々しい雰囲気が女性から観ても本当~~~…に、愛らしいです。
ベテランの俳優が演じられる女形は、艶やかで独特の凄みがあります。また、実際の年齢と離れた姫役を演じられても、役柄同様に可愛らしく見えるのがとても不思議。俳優自身が持つ雰囲気によるものとは思いますが、歌舞伎独特の『らしい』演技がなせるものかもしれません。

今までわたしが観劇したなかで、印象に残っている女形の俳優を3名だけご紹介します。ご活躍されているかたをまだまだ観れていないので、どんどん観て行きたいです。
中村壱太郎さん
歌舞伎を観始めたばかりの頃、中村壱太郎さんの遊女姿(封印切の傾城梅川)のあまりの可憐さに魅了されてしまいました。それ以来気になる役者さん。
中村七之助さん
お綺麗で、とても色っぽい雰囲気を出されるかただな~と思います。『青砥稿花紅彩画』や、『十本刀土俵入』を観劇。
坂東玉三郎さん
以前から写真などで本当にお美しい方だと思っていて、やっと実際に観劇できたのは、2012年の中村勘九郎さんの襲名披露公演の一度のみ。もちろんお美しく、演技には今までのご経験による深さや、可愛らしさもあるように思いました。

歌舞伎の華である女形。
いまフレッシュな雰囲気を放っている若い女形の俳優がどう変化していくのか、すでにご活躍のベテランの俳優がどう円熟していくのか…ますます目が放せません(*^^*)

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